2010/02/28

羨ましいジャケットデザイン



iTunesStore_music ヒットチャート(右の下のほうにあります)の1位に北乃きいさんの「サクラサク」が入っています。

「え、北乃きいって女優の?」と思いつつプレビューで聴いてみました。歌詞云々よりも元気が出る感じがとても気に入り、思わず衝動買いしてしまいました。

衝動買いというには安い金額ですが、北乃きいさんは別にファンではないし、映画も「ゲゲゲの鬼太郎」ぐらいしか観た記憶がないし、普通なら軽くスルーするジャンルでしたが、それがなぜか買ってしまったんですよねー。しかも北乃さんが想像以上に歌がうまくてビックリしました。

iTunesStoreで曲を購入する楽しみのひとつにジャケット写真(ジャケ写?)があります。結構大きな画像でキレイなんです。アルバム1枚でもツタヤに行けば2、300円で借りられますが、すぐ聴きたいとか全部聴かなくても気に入った1曲だけでいいという場合は200円でキレイなジャケ写付きということでいいかもしれません。ただ1曲200円は世界的に見て高いですよね。日本は何でもかんでもなぜそうなんでしょう?

そのジャケットについてひと言…

簡単に言うと「さすが!」と思うデザインです。写真も色使いもキレイで最高の仕上がりになっていると思います。ここで私が一番羨ましく思ったのは「文字の配置の仕方」です。

「サクラサク」を横組3行に置いています。そうすると「サクラ」の「ラ」が2行目に来て次が空いてしまいます。だったら横組2行にしたほうが読みやすい、と普通は思います。いえ、思っても当たり前だと思います。そのほうが自然です。

デザイナーが何を思ってこの文字組にしたのかはわかりませんが、私はこれを許してくれた環境が羨ましかったのです。もちろん名のあるデザイナーだから通ったということもあるのでしょうが、スタッフ全体のセンスのレベルでいいものが出来ていくという、いい例ではないでしょうか。

私がポスターを作る時もいろいろと新しい試みに挑戦する事が多々あります。選挙のポスターにしてもはじめはクライアントさんが「今までにないデザインで出来ないでしょうか?」と持って来てくれるのでそのようにやってみるのですが、いざ校正が戻ってくると「文字が見にくいから、もっと大きく太く」「人物にはかけないでほしい」「バックに色をひいてほしい」と言われ、言われる通りやってみると今までのと何ら変わらないデザインになってしまい、しかもそれでOKになってしまうからガッカリです。。

しかもその後民主党が出して来たポスターが、最初に私が作ったものと変わらないものでした。そうしたら手のひらを返したように「あーいうポスターも斬新でいいねえ」と言い始める始末。

こんなことは毎度の事なのでもう慣れましたが、今回の北乃さんのジャケットがいい例で、我々のレベルでは「サクラサク」の文字をこの様に配置しても100%通りません。縦組2行でもたぶんダメでしょう。ごく普通の「横組2行」で収まるでしょうね。

その理由は絶対的に「読めない・見にくい」という意外ありません。でもたかが5文字の簡単な言葉ですし、ジャケットで読みづらくてもそんなに問題ではないと思います。ジャケットのタイトルなんて「柄の一部」だと思ってほしいものです。

今度はこの上に書体の問題が絡んできます。私の環境では絶対的に「明朝」にしないと通らないと思います。「サクラ・桜」とか「卒業」とかにもう固定観念やイメージがあるのでしょうね。

そんなこんなで作る人のセンスはもちろんの事、OKを出す人もそれなりのセンスを磨いてほしいと思いますし、デザインに関わるならそうするべきでしょう。



簡単なセンスの磨き方をお教えします。
それは本屋さんに行って、いろいろな雑誌(中身)を見るのはもちろんですが、表紙だけでも結構ですから数多く見る事をお薦めします。iPhoneユーザー特典みたいな、手っ取り早く出かけなくても出来る方法もあります。それは「オススメ展覧会ピックアップ」「雑誌オンライン」を眺める事です。

ただ眺めるだけでも随分違ってくると思いますが、もっと勉強したいのなら「私だったらこうする」と自分なりの考えでチェックしていきます。なにしろ数多く見れば見るほど、センスというものは磨かれるのは間違いないと思います。

最終的に仕事が来なくなっても、他とはひと味違うデザインを心がけていこうと思っています。…とはいえ食っていけなくなると困るので我々Gデザイナーは芸術家でないという事は心しておかなければなりません。。

でも最近嬉しいことがありました。2月に作った信金のパンフレットで「予算がないので表紙は前のデザインのままでいいです」と言われたのですが、誰が作ったかわからないしかも自分とはまるで毛色の違うデザインが嫌で勝手に変えてしまいました。もちろん予算にない無駄な時間を使った訳ですが、おかげで納品したものが信金さんにも気に入られ、クライアントさんも喜んでくれて、そもそも低予算だったのでそんなには変わりませんが、少し割り増ししていただけました。わかっていただけて嬉しかったです。その前に「前と同じデザインでOK」と言うクライアントさんに問題ありですが…^^

話戻りますが、3位に「小柳ゆき」さんが入っていたのも嬉しかったです。やはり企画ものがヒットチャートに並ぶよりも、いい歌だったりうまい人が上位に並んでいると安心します。

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